ぎっくり腰になると「魔女の一撃」と言われるほど強烈な痛みに襲われます。
『冷や汗がでてきて、立ち上がることができない。』
『なにをしても痛い気がして、動けなくなる』
そんな言葉もよく聞きますが、ぎっくり腰には適切な対処法やその後の過ごし方があります。
対処法やその後の過ごし方を知っておくことで、発症直後の強烈な痛みを和らげることができ、短期間での回復や再発の予防を行うことができます。
そこで、今回はぎっくり腰発症時の対処法と、その後の過ごし方について紹介します。
ぎっくり腰の発症直後の対処法
ぎっくり腰は重い荷物を持ち上げるなど、腰に大きな負荷がかかった時だけでなく、くしゃみなど些細なことをきっかけに発症する症状です。
発症直後は腰の激しい痛みから、なにが起こったか分からずパニックになってしまうことも少なくありません。
まずは落ち着いて安全なところに移動し、下記の対処法を行いましょう。
①大きく深呼吸することを意識し、楽な姿勢をさがす。
大きく深呼吸を繰り返すことで気持ちを落ちつかせ筋肉の緊張が緩み、痛みが和らぐことがあります。
少し動けるようになったら楽な姿勢を探します。
すぐに横になって休めれば良いですが、難しければ正座のような姿勢で様子を見ましょう。
また、姿勢を変える時はできるだけ他の人の手を借りずに自分のペースで行ったほうが、痛みを感じることが少なくて済むようです。
②寝る姿勢は横向き、痛むところを上にして。
寝る姿勢は横向きで腰の痛む場所を上に、膝を少し曲げて腰を丸めると、より腰の負担を減らすことができます。
枕などがある場合は抱き枕のように、腕と膝の間に入れることで体重の圧力が分散できるので行ってみましょう。
また左右どちらが痛むのか分からない場合は、左右で試してみて楽な方で大丈夫です。
③発症直後は冷やす
ぎっくり腰の発症直後は腰の筋肉や関節、靭帯などに炎症が起きているため、冷やすことで炎症は抑制され痛みも軽減していきます。
氷枕や冷却パックなどがあれば良いですが、ビニール袋に氷と水を入れ薄い布を巻いたものでも大丈夫です。
冷やす時間は「10分冷やして5分休憩」を繰り返します。
長時間当て続けてしまうと凍傷になることもあるので注意が必要です。
ぎっくり腰発症から2〜3日間の過ごし方
ぎっくり腰を発症して2〜3日は、まだ腰の痛みも強くあり、なかなか動けるような状態ではありません。
仕事は無理をせずに、お休みをもらい安静にして回復に努めるようにしましょう。
○お風呂は控えて、シャワーで済ませましょう。
まだ痛みが強く残っていたり、痛めた場所に熱や腫れなどがあった場合は、お風呂に入ることは控え、シャワーなどで軽く済ませるようにしましょう。
入浴は腰の痛みや疲れをとることには効果的ですが、ぎっくり腰のような炎症を起こしている場合は炎症を広げてしまい、痛みが強くなってしまう可能性があります。
シャワーを浴びた後も痛めた場所は冷やすようにしましょう。
ぎっくり腰発症から4日目以降
腰の痛みも徐々に和らぎはじめたら、普段の生活を意識して過ごすように心がけましょう。
ぎっくり腰の強烈な痛みは、大きな恐怖心を与え『痛みが完全になくなるまで動きたくない』という方も少なくありません。
しかし身体を動かさず、過度な安静をすることで下記のような影響があります。
- 腰や背中の筋肉の柔軟性がなくなり疲労物質が溜まりやすくなる
- ベッドで1日安静にすることで最大筋力の1〜3%が低下する
その結果、腰痛の改善が遅くなったり、ぎっくり腰の再発の可能性も上がってしまいます。
無理に動かす必要はありませんが、すこしずつ身体を動かしていきましょう。
○コルセットや痛み止めも使用しよう
痛みとうまく付き合うために、コルセットや痛み止めも使用していきましょう。
コルセットはつけることで痛みが和らぐことが多く、日常生活を過ごす中で頼もしい仲間になってくれます。
普段の生活を過ごすことが大切ですので、痛み止めも同様に活用していきましょう。
注意点はコルセットをつけることで安心感が生まれ、改善後でもなかなか外せない方もいらっしゃいます。
コルセットを継続的につけていると、可動域の制限されることにより筋肉が固くなってしまう可能性があるので、痛みの程度に応じて、徐々にコルセットも外すようにしていきましょう。
○ストレッチやマッサージは症状による
ストレッチはぎっくり腰を発症して間もない時期に、積極的に行った場合と行わなかった場合を比べると、あまり差はないと言われています。
しかし症状や身体の状況にもよりますが、ストレッチを行うことで痛みの軽減を感じられる場合は無理のない程度で行うと良いでしょう。
マッサージに関しては、ぎっくり腰の原因が骨、神経、椎間板など様々であるため、それぞれに適した治療でなければ、症状を悪化させてしまいます。
ぎっくり腰の原因は自己判断では難しいため、安全面から考えると、まずは整形外科を受診し、医師の指示を仰ぐのが良いでしょう。
病院にはすぐに受診しなくてもよいのか
ぎっくり腰をおこすと、急に立ち上がれないほどの痛みを感じるため、すぐに病院へ受診したくなりますが、すぐに受診はせずに安静にして様子をみましょう。
理由としてぎっくり腰の場合、救急車を呼んだり緊急外来に受診しても、すぐに症状を改善するような処置がないため、痛み止めや湿布を渡され「安静にしてください」といった処置で終わることが多いためです。
安静に過ごした上で、下記のような症状があった場合は医療機関に受診するようにしましょう。
- 痛みが軽減するような姿勢が見つからない
- 2〜3日経過しても痛みが軽減しない
- 脚に痺れがある
- うずくような痛みが続いている
- 吐き気や発熱が続く
まとめ
今回はぎっくり腰が起こった後の対処法とその後の過ごし方について紹介しました。
発症直後は下記の3つの対処法を行うようにしましょう。
- 大きく呼吸することを意識し楽な姿勢をさがす。
- 寝る姿勢は横向き、痛むところを上にして。
- 炎症が起こっている場所は冷やす
痛みでパニックになることも少なくありませんが落ち着いて行動することが大切です。
発症後2〜3日は強い痛みが残っているため、安静にして過ごす必要がありますが、4日以降は痛みも徐々に軽減してきます。
過度の安静をとるのではなく、普段の生活を心がけることで回復が早くなり、ぎっくり腰が再発しづらくなります。
コルセットや痛み止めなども活用しつつ、痛みとうまく付き合っていきましょう。
また、病院への受診は様子をみて、下記のような症状があれば医療機関へ受診することをおすすめします。
- 痛みが軽減するような姿勢が見つからない
- 2〜3日経過しても痛みが軽減しない
- 脚に痺れがある
- うずくような痛みが続いている
- 発熱や吐き気が続いている
腰の痛みに隠れて、がんや婦人科系の病気でも腰痛が発症することがあります。
腰痛以外にも、変わった症状がないか把握しておくことも大切です。