『子どもが朝に調子を崩すことが多く、学校に行けていない。』
『無理にでも学校に行かせた方がいいのかな...』
『学校にどのような支援をお願いしたらいいのだろう?』
起立性調整障害は自律神経の乱れから、頭痛や腹痛、全身がだるいなど、様々な症状を起こす、思春期の子どもが発症しやすい”身体の病気”です。
朝に症状が強く出る特性があるため、学校に登校できなくなるケースもあり、実際に不登校の小中学生の3〜4割が発症しているといわれています。
また本人の訴えでしか、症状が把握できないため、”甘え”や”なまけ癖”と、誤解されやすい病気ですが、本人の力だけで解決できる病気ではありません。
この病気を解決するためには、家族や学校の支援・連携が必要不可欠ですが、どのような支援をお願いしたらいいのか分からないという声もあります。
そこで今回は、具体的に学校へどのような支援をお願いしたらいいのか、解説していきます。
具体的な学校との連携、支援方法とは
起立性調節障害は、いきなり症状が現れることがあるため、本人や家族もいきなりの変化に、どうしたらいいか戸惑ってしまう家庭がほとんどだと思います。
その症状を家庭の問題であると考え、家庭だけで解決しようとした結果、症状を悪化させてしまうケースも少なくありません。
家庭だけで解決するのではなく、学校や病院に相談や支援をお願いすることで、病気の早期発見にも繋がります。
状況に合わせて、学校や病院と連携をとり、子どもが学校にいきやすくなるように支援や環境を整えていきましょう。
学校と情報共有で変化に気付き、早期発見を
起立性調節障害を早期発見するためには、学校との情報の共有は、とても重要です。
この病気は、病気ではない子どもにも起こりえる症状が多いため、発見が遅れてしまうことも少なくありません。
子どもは、自身が病気であることを知らないため、今まで出来ていたことが出来なくなったことに対して、自責の念や劣等感を感じています。
病気の早期発見は、そんな子どもの負担を減らすと同時に、安心した学校生活が送れるような学校側の支援体制も早く整えることができるようになります。
下記のような変化があった際は、学校へ欠席や遅刻の連絡と一緒に相談しておきましょう。
(家庭内の変化)
- 起床時、頭痛や腹痛などの体調不良を訴えることが多くなった。
- 以前に比べ、ボーッとしていたり、イライラしていることが増えた。
- 夜ふかしすることが多く、朝起きれなくなった。
(学校生活での変化)
- 遅刻や早退することが多くなった。
- 授業中に集中できておらず、ボーッとすることが増えた。
- 午前中に体調不良で保健室で休むことが多い。
学校と協力して子どもの悩みの聞き取る
ご家庭の中には、学校に行かないことに対し、強い言葉で子どもと接してしまい、家族関係が崩れてしまっているケースもあります。
一番辛い状況にいるのは子どもであることを理解し、その気持ちに寄り添った言葉で悩みを聞いてあげることが大切です。
ご家庭によっては、親になかなか悩みを打ちあけることができない子どももいます。
そのような時は無理に聞き取りを行うのではなく、学校の先生にお願いする必要もあるでしょう。
また、悩みの内容が起立性調節障害などの身体的な問題や、生活リズムの問題であれば、ODチェックシートを一度実施してみてください。
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/604493_5061359_misc.pdf
チェックシートが3つ以上かつ、最近の様子から症状が改善されなかったり、悪化していると感じた場合は病院に受診し、診断を受けましょう。
◆起立性調節障害と診断されたら、医療機関を含めた連携に
病気を診断された際は、家族や学校、病院で、現在の症状や今後の治療方針、また配慮すべき点の説明や指示を共有し、支援に取り組んでいきましょう。
【支援の一例】
○午後からでも出席可能な環境づくり:
朝から無理に登校するのではなく、体調に合わせて午後からの短時間の出席や、部活動への参加ができるようにします。
睡眠時間を確保することは疲労回復のために必要なことなので、主治医の先生の指示に沿った生活を過ごしましょう。
○体育は身体の体調に合わせて:
特に運動制限はありませんが、脱水等で体調不良になりやすいため、相談しながら内容を決め、いつでも休んでよいことを伝えましょう。
また休息できる場所を事前に決めておくことで、安心して参加することができます。
○教職員全員との共有と理解:
保護者や教職員が病気を正しく理解し、一貫した対応を行うことが重要です。
温かい大人に囲まれることは、子どもにとっての安心感や信頼に繋がり、ストレスも軽減されていきます。
○学校へ欠席などの連絡方法を決めておく:
学校への連絡を、毎日電話で行うことは保護者にとって、辛く感じてしまうことがあります。
家族側・学校側の両方で連絡する際のルールを決めておくと、保護者の負担を軽減することができるでしょう。
まとめ
起立性調節障害は症状の特性上、朝に症状が強く、夕方には体調が回復するなど、”怠け癖”と誤解されやすい病気です。
家族や教職員からの冷たい言葉は、本人を傷つけてしまいます。
周囲にいる人たちが病気を理解し、子どもに寄り添った支援をすることで症状は改善に向かっていきます。
『学校も協力してくれるだろうか?』と不安に思うこともあると思いますが、一度子どもの状況を相談してみましょう。
学校に相談することで、すこしずつ状況は変わってきます。
また家族以外からの温かい支援は、子どもの孤立した気持ちに安心感を与え、症状の改善に繋がるはずです。