『今日は起きて、頭痛がひどいから学校を休みたい』
『全身がだるくて、起きる事ができない』
そういって学校を休んだ子どもが、夕方には元気になっている。
そんな状況が何日も続いてしまうと「サボりではないか」と考えてしまいたくなります。
しかし、それは子ども本人の力だけでは、どうしようもない問題かもしれません。
今回は『起立性調節障害』について解説していきます。
この病気は多様な症状から『本人の気持ちの問題である』と誤解をされやすいため、周囲の家族や学校の理解とサポートが重要となってきます。
今回、この記事を読み、この疾患への理解を深めていただければと思います。
いくつあてはまる?起立性調節障害のチェックポイント
起立性調節障害は、立ち上がった時にめまいや動悸を感じたり、悪化すると、慢性的な頭痛や倦怠感で朝なかなか起きれなくなってしまう疾患です。
この症状が強い小学生や中学生は朝から学校に行くのがおっくうになったり、体調不良を訴え不登校のきっかけになるケースがあるのです。
『なにを基準に、起立性調整障害と考えればいいのか?』というと、下記の項目に3つ以上該当する方は要注意です。
- 立ちくらみ・めまいがある
- 立ち上がった時に気分が悪くなる・失神したことがある
- 動悸や息切れがある
- 午前中は調子が悪く、朝なかなか起きられない
- 食欲がない
- 身体のだるさを感じる
- 頭が痛い
- 乗り物で酔いやすい
- 顔色がよくない(青白い)
- 入浴中に気持ち悪くなることがある
この項目にあてはまり、他の病気が見つからない場合、起立性調節障害である可能性があります。
起立性調節障害の原因とは
なぜ起立性調節障害が引き起こされるのかというと、自律神経の活動リズムの異常により、血圧など血流の調節がうまくいかなくなることが原因です。
人間は姿勢によって血圧が変動しますが、それを常に安定させているのが交感神経や副交感神経といった自律神経です。
しかし、起立性調節障害は交感神経がうまく機能せず血圧が低下するため、めまいや動悸、倦怠感、頭痛などの症状が起こります。
自律神経の異常の要因として、身体の発育による自律神経の乱れや水分の摂取不足、運動不足、精神的なストレスなどが挙げられます。
『自分だけでは解決できない』不登校の要因になる病気
起立性調整障害が多い年代は、小学校高学年〜中学生の思春期の子どもで、身体の様々な機能が変化する第2次成長期の時期です。
朝起きれなくなる症状から、不登校につながることもあり、実際に不登校の子どもの3分の2は起立性調節障害に悩まれているといいます。
また真面目で気を使う性格の子どもは、とくになりやすいといわれています。
ストレスを溜めやすいという点で、精神的な要素として関係しているのでしょう。
この病気は身体に異常があるため、本人が頑張れば改善できるものではありません。
自律神経系の障害であるため、身体的要因だけでなく、周りの環境要因も大きく関わってきます。
子どもに対し「サボり」と決めつけ、言葉をかけてしまうと、症状を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
家族や学校など、周りの人たちが病気を理解し、サポートすることがとても重要です。
まとめ
今回の記事では、起立性調節障害について解説をしてきました。
この病気は自律神経のひとつである交感神経の異常により、血圧などの血流がうまく調節できなくなることが原因です。
症状として、起立時のめまいや動悸などがあり、症状が悪化していくと、慢性的な倦怠感や頭痛で朝なかなか起きれないなど日常生活にも支障が出てきます。
小学生高学年から中学生の思春期の子どもに多く、起きれなくなる症状から、不登校の要因にもなる病気です。
朝気分が悪くても、夕方には調子が戻ることから、『サボりではないか』と誤解されやすいですが、これは気持ちの問題ではなく、身体の異常です。
本人の頑張りで解決できることではないことを、周囲の人たちが理解することがとても重要になります。
また正常な場合でも、この病気の症状はしばしば起こるため、判断が難しいですが、生活に支障が出るような場合は、一度病院を受診してみましょう。