長引く膝痛には、半月板の損傷などのほか、病気が潜んでいることもあります。
疑われる病気のひとつが「骨肉腫(こつにくしゅ)」。
膝や肩周辺の骨に発生することが多い悪性腫瘍で、患者数が少ない「希少がん」です。
「なかなか引かない膝痛」や「腫れ」が主な症状として挙げられます。
今回は、骨肉腫の特徴、発症しやすい年齢や性別、主な症状について説明します。
骨肉腫とはどのような病気か?
骨肉腫は、膝や肩周辺の骨にできることが多い悪性腫瘍のひとつです。
骨、筋肉、神経にできる悪性腫瘍は「癌」ではなく「肉腫」というので、「骨癌」ではなくて「骨肉腫」と呼びます。
骨から発生する肉腫には他に「軟骨肉腫」「ユーイング肉腫」などがありますが、「骨肉腫」は「悪性腫瘍そのものが新たな骨を形成する」のが特徴です。
「骨肉腫」は骨から発生することが多いですが、中には、脂肪や筋肉から発生する骨肉腫(骨外性骨肉腫)もあります。
患者数がかなり少ない「希少がん」のひとつで、日本の患者数は年間200人程度。
骨肉腫が手足に発生し初診時に転移していない場合、日本での5年生存率は83%程度とされています。
骨肉腫の発生年齢と性別差
骨肉腫は、成長期の子どもや若年層に多い病気です。
2006年~2015年の発症年齢のピークは15~19歳、次が10~14歳でした(「全国骨腫瘍登録一覧表 平成27年度」による)。
小学校高学年~高校生に発生しやすいことがわかります。
成長期である若年層が骨肉腫になることが多いため、「骨や体の成長・細胞分裂に関連して何らかの異常が起こり、発症するのでは」と考えられています。
ただ、成長期以外の大人や高齢者がまったく骨肉腫にならないということではなく、高齢者が発症する可能性も。
高齢者の場合、膝ではなくて骨盤などでの発生が多い傾向にあります。
また男女比では、男性患者のほうがやや多くなっています。
骨肉腫の症状
骨肉腫の主な症状は「痛み」と「腫れ」。
骨肉腫は膝や肩の周りにできることが多いため、膝に近い大腿骨(太ももの骨)や脛骨(スネの骨)や、肩に近い上腕骨(二の腕の骨)に症状が出ます。
関節そのものではなく、関節から少し離れた部分が痛むことが多いです。
痛みはすぐひくことはなく、長期間(1~数ヶ月以上)続きます。
骨肉腫はまれな病気であり、子どもの膝痛は「成長痛」や「スポーツなどが原因の怪我」である可能性も。
とはいえ、「膝痛が強くなってきた」「スポーツをやめても治らない」などの場合には、医療機関の受診をオススメします。
また、骨肉腫が大きくなってくると腫れてきます。
骨肉腫による腫れは「骨肉腫そのものが作った骨」なので、触ると硬く、動かないのが特徴です。
また骨肉腫が原因で、軽いけがが骨折につながることがあり、骨折がきっかけで骨肉腫が発見される例もあります。
まとめ
長く続く膝痛には、骨肉腫が隠れていることがあります。
骨肉腫は成長期の子どもが発症しやすい悪性腫瘍で、関節から少し離れた部分に痛みや腫れなどの症状があらわれます。
患者数は少ないですが、子どもだけではなく高齢者も発症することがあります。
なかなか引かない膝痛に「骨肉腫かもしれない」と思ったら、早めに整形外科クリニックなどの医療機関を受診し、検査を受けてください。