『子供が起立性調節障害かもしれないけど、高校生でも発症するの?』
『人生にとっても大切な時期だけど、子どもにどう接していったら...』
起立性調節障害は、自律神経の乱れから脳に十分に血液が届かず「めまい」「動悸」「倦怠感」など様々な症状を起こす病気です。
10代の思春期の子どもが発症することが多く、高校生が発症することも少なくありません。
この病気は重症化すると、遅刻や欠席をすることも多くなり、学業や生活に大きく影響を与えてしまいます。
高校生は大学受験や就職活動など、人生の大きな選択をする時期でもあるため、本人は大きな不安を感じているでしょう。
病気を早期発見することで、子どもの不安を軽減し、今後の進路を考える時間を増やすことができます。
今回は起立性調節障害の早期発見のポイント、発見後の支援についてご紹介します。
【早期発見するために】起立性調節障害の可能性があるサイン
『最近、朝調子が悪いことが多いけど、自分も当てはまるのだろうか?』
起立性調節障害の症状は、病気でない人にもあてはまることも多いため、判断が難しいのが特徴です。
まずは、下記の項目がいくつあてはまるかチェックしてみましょう。
- 立ちくらみやめまいがある
- 起立時に体調が悪くなる・意識を失う
- 動機や息切れすることが多い
- 朝起きられず、午前中に調子が悪い
- 食欲がない
- 全身にだるさを感じる
- 顔色が青白い
- 頭痛があることが多い
- イライラしたり、集中力の低下を感じる
- 夜になかなか寝付くことができない
- 酔いをしやすい
項目に3つ以上強く当てはまり、かつ生活に支障が出ている場合、起立性調節障害の可能性があるため、一度、病院で診察してもらいましょう。
高校生以上の場合、特定の診療科はありませんが、最も辛い症状に合わせて循環器内科や神経内科、睡眠外来などを受診すれば問題はありません。
◆早期発見することの重要性
子どもは、今の自分の状況と周囲の友達を比べ、劣等感や自責の念を感じていることも少なくありません。
「自分がおかしいわけではなかった!原因が分かって安心した。」
病気を早期に発見し診断を受けることは、子どものこころの負担を減らすことに繋がります。
しかし起立性調節障害は、病院から診断を受けるまでに時間がかかるケースがほとんどです。
それは本人の訴えでしか分からない症状が多く、”気持ちの問題である”と受け取られることが多いため、発見が遅れてしまいます。
この病気は”身体的な病気”であり、本人の気持ちのコントロールで改善されるものではありません。
周囲の人たちは子どもの変化を感じた時、「なにか困っていることはない?」など子どもに寄り添った声かけを行い、話を聞いてあげましょう。
その声かけは、子どもの信頼を得ると同時に、病気の早期発見に繋がります。
【起立性調節障害 診断後】家庭での過ごし方のポイント
この病気の改善には周囲の人たちの理解や支援が必要不可欠です。
自律神経は気持ちの影響を受けやすいため、ストレスは症状悪化の要因となります。
診断後は家族や学校、病院の3者での情報共有を行いつつ、子供が負担なく学校に通えるように支援体制を整えていきましょう。
○子どもに寄り添った声かけを
症状がひどく、学校にいけない状況が続くことは、子どもが1番辛いことであることを周囲は認識し、声かけしていくことは大切なことです。
病気の話ばかりでは、お互いに気が滅入ってしまうので、夕方から散歩に一緒にいくなど、コミニケーションをとっていきましょう。
子どもにとって周囲の人が自分のことを理解してくれて、味方でいてくれることは、とても心強く、安心することができます。
○朝は無理に起こさない
病気の影響で入眠する時間が遅くなってしまうため、朝無理に起こすと睡眠時間が十分に確保できなくなってしまいます。
疲労回復のためにも、主治医の先生の指示に沿って生活を送るようにしましょう。
○食事を見直す
水分と塩分をとることを意識し、水分を2L 塩分は10gを目安にしていきましょう。
食事を抜いてしまうと塩分が足りなくなるので、3食しっかりとることが大切です。
また食事内容も思春期に不足しがちな鉄やタンパク質、ビタミンB群を多めにとり、米・パン・お菓子などの糖質の量を減らすと、より良いです。
【起立性調節障害 診断後】高校での過ごし方のポイント
○午後からでも出席可能な環境づくり
体調に合わせて午後からの短時間の出席や、部活動への参加ができるように支援体制を整えてもらいましょう。
子どもの学校への登校のハードルが下がり、負担なく登校しやすくなります。
そのために、担任の先生だけでなく、その他の先生方にも一貫した認識や対応を行ってもらう必要があるため、あらかじめ病気の情報や認識を共有してもらうことが必要です。
○体育は身体の体調に合わせて
起立性調節障害は、特に運動制限はありませんが、本人と相談しながら内容を決め、いつでも休んでよいことを伝えておくと良いでしょう。
休憩場所を事前に決めておくことで、安心して参加することができます。
本当に辛いは高校や進路の変更も視野に
子どもや家族、学校が病気の改善に向けて支援したとしても、出席日数などの関係上、留年や退学をしなければならないケースもあります。
残りの出席日数を確認し、留年や退学の可能性が見えてくることは、大きなショックやストレスを受けることでしょう。
そのストレスによって症状をより悪化させ、うつ病など、その他の病気に発展する可能性もあります。
起立性調節障害で高校を変更するのは恥ずかしいことではない!
『進路を変えることは、病気に負けたみたいだ!』
一度自分で決めて入学した高校を変更することに対して、マイナスのイメージを持たれる方も少なくないと思います。
しかし、自分に合った高校に変更したことによって、症状は改善し幸せな人生を過ごしている方はたくさんいます。
先入観で自身の行動を制限するのではなく、今後の選択肢について情報を得ていくようにしていきましょう。
留年や退学の可能性が見えてくると、余裕がなくなり情報収集も十分にできない場合があります。
選択肢の一つとして、早めに情報を集めるようにしましょう。
今回、参考にさせていただいた不登校ナビさんには、起立性調節障害である自身の体験を詳しくまとめてあります。
是非、一度ご覧いただければと思います。
http://futoko-support.com/od-high-school/
まとめ
今回は起立性調節障害の早期発見のポイント、診断後の支援について紹介しました。
周囲の方々は子どもの変化を感じたら、まずしっかり子どもの話を聞いてあげることを心がけましょう。
子どもに寄り添った声かけや行動が、病気の早期発見をすることができ、子どもの負担を減らすことができ、今後の進路を考える時間を増やすことができます。
また、高校生は大学受験や就職活動など、人生の大きな選択をする時期でもあるため、本人は大きな不安を感じているでしょう。
家族や学校、病院で連携をとり、子どもに負担なく高校生活が送れるようにサポート体制を作ることが大切です。
改善に向けて支援を行ったとしても、留年や退学が視野に入ってくるケースもあります。
悲観的に考えず、自分に合った学校への進路を変更することで、良い方向に進むこともあると考え、情報収集を早めにしておくようにしましょう。