「朝、膝がこわばった感じがする」「歩きはじめだけ、膝が痛い」「立ち上がるとき、膝が痛む」といった異変は、変形性膝関節症の初期症状です。
中高年が感じる「膝の痛み」の原因のほとんどを占める「変形性膝関節症」。
変形性膝関節症の特徴は、症状が一気に現れるのではなく、何年もかけて少しずつ進行していくこと。
そこで今回は、早めに気づきたい「変形性膝関節症の初期症状」や、悪化した場合の症状について解説します。
変形性膝関節症の初期症状
変形性膝関節症の初期症状は、動作のはじめにだけ起こります。
例えば、「布団から起き上がるときに、膝がこわばった感じがする」「歩きはじめに、膝が少し痛い」「椅子から立ち上がるときに、膝が重く感じる」「動きはじめに、膝が動かしにくい」などが自覚症状です。
ただ、しばらく動いていると痛みや違和感は治まるため、「ちょっと変な感じがしたけど、まあ大丈夫だろう」と、気に留めない人も多いでしょう。
初期のうちでも症状が進んでくると、階段の昇り降り、急に方向転換したとき、正座をしたとき、歩きはじめ、いつもより長く歩いたときなどに、膝にはっきり痛みを感じるようになります。
初期であれば、少し休めば痛みは自然に治まりますが、症状がさらにすすむと、休んでも痛みがとれない状態に。
注記症状や末期症状については、のちほど詳しく解説します。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨がすり減ることによって、膝が痛む病気です。
膝の軟骨は骨と骨の間でクッションのような役割をしているので、軟骨がすり減ると骨同士が直接こすれるようになり、炎症が起こり、痛みを感じるのです。
軟骨がすり減ってしまう原因は様々ですが、主な原因は加齢。
そのほか、肥満、O脚、もろい軟骨を持つ遺伝、女性では閉経後のホルモンバランスの変化が原因として挙げられます。
また、日本の生活習慣も「変形性膝関節症になりやすい」と言われています。
日本の日常生活では、「布団の上げ下ろし」「床に直に正座やあぐらをかいて座る」など、大きく膝を曲げる動作が海外の国に比べて多いからです。
男性:女性の割合は1:4で女性患者が多いため、中高年で肥満気味の女性は特にハイリスクです。
変形性膝関節症が悪化したらどうなるの?
変形性膝関節症が悪化し、中期症状になると、歩き始めだけではなく、歩く間中、膝に痛みを感じるようになります。
また、休んでも膝の痛みがなかなか消えません。
痛みやこわばりのせいで膝の曲げ伸ばしがしにくくなるため、正座、しゃがんだ姿勢、階段の昇り降りが難しい状態に。
膝関節の炎症が進むため、膝が腫れ、熱を持ったり、膝に水(関節液)がたまったりする症状も出ます。
O脚になったり、足を動かすときに膝の関節がきしむような音を感じたりする人もいるでしょう。
さらに末期になると、関節にあるべき軟骨がほとんどなくなり、骨と骨が直接こすれるように。
歩いたり、立ったり、座ったり、しゃがんだりする日常の動作が困難になってしまい、膝の変形も進行。
外出はおろか、家の中で移動することも困難になるため、いわゆる「普通の生活」が送れなくなってしまいます。
まとめ
変形性膝関節症の初期症状は、「歩きはじめ」「立ち上がったとき」などに起こる、ちょっとした違和感、こわばりや痛みです。
しばらく動いたり休んだりすると治まってしまうため、気に留めない人も多いのですが、放置すると「いつも膝が痛い」という状態になりかねません。
末期になると、普通の日常生活を送ることすら困難になってしまいます。
膝の症状は、気づかないうちに、けれど確実に悪化してきます。
「いつもと違う」「何だか変」と感じたら、一度専門家に相談しましょう。