更年期には、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)など体調面での症状だけではなく、「なんだか不安」「気持ちがそわそわして落ち着かない」といった精神面の症状も起こります。
「更年期障害を訴える人の25%以上がうつ状態になる」という研究もあります。
更年期とうつには、深い関係があるんですね。
ただ「更年期のうつ状態」にも2つのパターンがあり、治療法などが異なります。
今回は更年期障害とうつについてお伝えします。
更年期障害では不安感が起こることもある
「不安感」「そわそわして落ち着かない」のは、更年期によくあらわれる症状です。
更年期に「不安感」「そわそわ」という症状がでる原因は、大きく分けて2つあります。
ひとつは女性ホルモン量が低下するという、身体面での問題。
「ホルモンを分泌したいのにできない」状態になるため、ホルモン分泌をコントロールしている脳の視床下部が混乱し、自律神経症状(のぼせ、ほてりなど)のほか、精神面の不安定さを引き起こします。
もうひとつの原因は、40~50代の女性が直面する社会的な問題です。
40~50代の女性は「子どもの独立」「夫婦関係の再構築」「健康・美容面での衰え」「親の介護や死」など、さまざまな変化とストレスにさらされています。
ストレスから、不安感や感情面での乱れを感じているのかもしれません。
うつ病と更年期障害の判断が自分で難しい
更年期の「不安感」「気分の落ち込み」が、ホルモンバランスの乱れによるものなのか、社会的・心理的な問題によるうつ病なのかは、判断が難しいところです。
「最初はホルモンバランスによって引き起こされた不安感だったけれど、長く続くうちにうつ病になってしまった」ということもあるでしょう。
医師でも2つの原因を明確に区別するのは難しく、慎重な診断が求められるくらいなので、「自分では正しく判断できない」と考えましょう。
まずは医師の診断を受け、原因にあった治療をうけてください。
まずは更年期外来や女性外来への受診がおすすめ
治療する場合、まずは「不安感」「そわそわ」が更年期障害によるものなのかを知る必要があります。
更年期や女性特有の問題に詳しい「更年期外来」「女性外来」を受診するのがオススメです。
更年期によるホルモンバランスの乱れが原因の不安感なら、ホルモン補充療法(HRT)が効果を発揮するはずです。
社会的・心的な原因が大きい場合や、HRTでは効果が出ない場合には、症状に合わせて抗うつ剤、抗不安薬、感情調整薬などが処方されるでしょう。
「抗うつ剤」と聞いて抵抗感を持つ人もいるかもしれませんね。けれど、医師の指示を守って服用すれば安全ですよ。
また症状を緩和するため、漢方薬を活用する医師もいます。
まとめ
更年期には「気分がおちつかずそわそわする」「理由なく不安を感じる」という症状が出ます。
原因は大きくわけて2つあります。ホルモンバランスの乱れと、社会的・心的要因です。
「更年期でホルモンが乱れているせいで不安なんだ」と思っていても、本当は社会的・心的要因が引き起こした不安感かもしれません。
「時間が経てば不安感はおさまるはず」と我慢していると、不安感がおさまるどころか、ますます大きくなっていく可能性も。
「更年期のせい」と自己判断せず、まずは病院で相談し、検査を受けてください。