筋膜リリースと聞くと「そもそも筋膜ってなに?」という方や「マッサージと何が違うの?」と疑問に思う方がおられるかもしれません。

筋膜リリースは、近年注目を集めるヘルスケアの手法の一つです。

筋肉や関節の痛みを和らげたり、運動パフォーマンスを向上させる目的で行われています。

この記事では、そんな筋膜リリースの基本から効果、自宅で簡単に行える方法まで、詳しく解説していきます。

筋膜リリースってどんな施術?

筋膜リリースとは文字通り、筋膜と呼ばれる組織をリリースする、つまり剥がす技術です。

全身のコリや痛み、不調の改善に効果的と言われており、筋肉へのアプローチだけでは解決できなかった冷えや肩こりなどの症状も、筋膜リリースの知識を活用すると改善が期待できます。

ここでは筋膜リリースの考え方からやり方について解説していきます。

筋膜って何?身体におけるその秘めたる役割

筋膜とは、筋肉を包む伸縮性のある薄い膜のことで、身体全体をネットワークのようにつないで支えており「第2の骨格」と言われるほど体にとって重要な組織です。

筋膜は筋肉だけでなく内臓も1つ1つ覆っており、体の表面から深部まで全身を張り巡らされています。

イメージとしては全身タイツを着ている様なイメージですね。

また筋肉が滑らかに収縮するのをサポートし、血管やリンパ、神経などが摩擦しない様に守る役割があります。

筋膜があることで動作がスムーズに行えたり、体の姿勢が正しく保持できる様になります。

筋膜が癒着を起こすとどうなる?

そんな縁の下の力持ち的存在で、重要な組織である筋膜ですが苦手なものがあります。

それは長時間座りっぱなしの様な「偏った体の使い方」や、「筋肉内の疲労の蓄積」です。

この状態が続くと筋膜は徐々に「癒着」を起こしてしまいます。

癒着とは筋膜が周囲の筋肉や皮膚とくっついてしまうことです。

この状態になると筋肉の動きは悪くなり、血行も滞るため疲労物質が筋肉内に蓄積していきます。

加えて筋膜につながっているリンパ管や血管も影響を受け「筋肉のコリ」、「冷え」、「むくみ、「痛み」などの症状に繋がってしまいます。

癒着による症状は体の別の部分に原因がある可能性も

前述の通り筋膜は全身を張り巡らされていて繋がっています。

そのため体の一部分に症状が出ていても、実はその原因が違うところにあるなんてケースも少なくありません。

首周りが凝っていると思ったら原因は、腰にあったなんて場合もあるのです。

ですので筋膜を対象に施術を行う場合には、体全体を見て行う必要があります。

知っておくべき筋膜リリースの効果

筋膜リリースの効果は多岐に渡りますが、大きく分けると以下の5つのことが挙げられます。

●筋肉の柔軟性が高まる

筋膜の癒着が解消されることで、筋膜や筋肉、皮膚の間の滑りが良くなり柔軟性が高まると言われています。

加えて筋肉周囲の血液やリンパの流れも良くなるため、老廃物が流れやすくなり、むくみや冷えの改善も期待できます。

●コリや痛みの緩和

筋肉の柔軟性が高くなることで血行不良が緩和されるため、コリや痛みなどが緩和することが期待できます。

●怪我の早期回復

筋膜リリースを行うことで筋肉周囲の老廃物が排出されやすくなり、怪我した組織の回復に必要な栄養素や酸素を患部に供給することができます。

その結果、患部の治癒が早まり怪我の早期回復が期待できます。

●運動パフォーマンスの向上・怪我予防

筋膜リリース後には、筋肉の柔軟性が高まるため、関節の可動域が広がったり、筋出力を発揮しやすくなります。

その結果、運動時のパフォーマンスアップや怪我の予防が期待できます。

●心身のリラクゼーション

血流が良くなることで筋肉の緊張もほぐれやすくなり、体のリラックスしやすくなります。

加えてボールやローラーで刺激を入れる際に、腹式呼吸を意識することでより高いリラクゼーション効果が期待できます。

筋膜リリースの始め方:基本的な方法と必要なツール

筋膜リリースには、様々な方法がありますが、ここでは2種類の方法をご紹介します。

○筋膜リリースを自分で行う

この方法はフォームローラーやテニスボールを使い自分で行う方法です。

これらの道具を用いてまず筋膜をほぐし、柔軟性を高めた後にストレッチを行うことで体が再び動きやすい状態に戻っていきます。

【基本的な使い方】

  1. コリや張りが強い部分に対して当たる様にテニスボールやローラーをおき体をのせる
  2. 深呼吸をしながら前後左右に体を揺らしてリラックスする(1箇所につき10~15秒程度)
  3. 1箇所につき15秒程度行ったら他の気になる部分に当てる
  4. 最後にストレッチをして終了

この方法では自重をかけて行います。

そのため過度な圧力はかえって筋肉を傷める原因になります。

自分の体の声を聞きながら、無理のない範囲で実践しましょう。

○プロの手による筋膜リリースを活用する

自身での筋膜リリースでもあまり効果が感じられない場合は、専門家による施術を検討してみても良いかもしれません。

全身の観察と検査により筋膜の歪みを特定し、徒手や筋膜リリース専用の機器を使用しながらピンポイントで筋膜や皮下組織にアプローチしてくれます。

自身ではわかりにくい歪みの部分の特定をしてくれたり、セルフケアよりも深い部分の筋膜のリリースが出来るので施術前後の違いを早めに実感できることが多いです。

筋膜リリースの行う際の注意点

筋膜リリースはやり方やその強さによっては痛みがでたり内出血が起こる可能性があります。

そのため刺激の量としては、「少し物足りない」程度の刺激量で行うことを心がけてください。

また以下の症状の場合は症状が悪化する可能性があるので禁忌です。

絶対に行わないようにしてください。

【筋膜リリースの禁忌事項】

悪性腫瘍・がん、開放創(皮膚の開いた傷)、縫合部がある場合、全身・局所感染時

上記に加えて筋膜リリースを受けた後に、非常に強い痛みを感じる場合や痛みが全く変わらない場合は他の疾患が原因になっているケースもあります。

その際は一旦筋膜リリースは中止して医療機関への受診をおすすめさせていただく場合がございます。

筋膜リリースに関するよくある質問

Q:筋膜リリースは痛みがありますか?
A:筋肉に刺激を入れるので全く痛みを感じない訳ではありません。ですが正しい方法で行えば痛みは最小限に抑えて行うことが可能です。

Q:筋膜リリースはどのくらいの頻度で行うべきか?
A:個人の状態によって様々ですが、週2〜3回の実践が推奨されます。

Q:筋膜リリースを行う場合の最適な時間帯はあるか?
A:朝と就寝前など活動前後に行うのが効果的です。朝の起床時とベッドに入る前など時間帯を決めて行いましょう。

まとめ

今回は筋膜リリースの効果や施術の考え方、具体的な方法まで解説しました。

筋膜リリースは効果的な施術ではありますが、通常のストレッチと比べると今回紹介したローラーやボールを使ったやり方は強度が強いため負荷調整が重要になります。

もし自分に合った方法を知りたいという方は一度専門家に相談し、やり方を学ぶのも良いかもしれませんね。

ぜひ筋膜リリースを試してみてください。

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